レザーマンとの出会い
私は兵庫県丹波篠山市の里山に住みリース作家をしています。
私のリース作りは秋の材料集めから始まります。
山野に自生している蔓や木の実には、売られている材料とは違う素朴さや自然な色・形がありますし、何より採集しているときの穏やかな時間が好きで毎年楽しみにしています。
フジやアケビの蔓や様々に色づいた木や草の実など、保存の効くものは一年分を秋に採集してストックしておく必要があり、そのために様々な道具が必要になります。
ハサミ、ナイフ、高枝切り鋏、鎌などの道具類に加えて採集したものを入れる袋などを携えて山に入っていくのはなかなか重労働。
しかも不安定な姿勢での作業も多いのでツールをどこかに落としてしまったり、別の場所に置いていて欲しい時に手元に無くて困ることもありますのでいい解決方法がないかと思っていたのです。
そんな時にふと、写真家である主人が常に携帯しているマルチツールというものに目が止まりました。
話を聞くと、予期しないことも多々起こり得る撮影の現場に対応するために、常に複数の道具を確実に携帯できる方法としていくつか使ってきた中で最も丈夫で信頼できるレザーマンツールを選んだ、との事。
さりげなさすぎて気がついてなかったのですが、この方法なら私が使っているいくつかの道具もまとめることができるのではないかと思いました。
それが私がレザーマンという道具を意識し始めた最初の出会いでした。
しかし一方ではすごく男性っぽい、アウトドアやミリタリー的なイメージが強い道具ということが分かり、果たして女性のクラフトに向いているのかどうか、全く未知数でもありました。
主人と相談しながらリース作りに一番向いているであろうレザーマンツールを探してたどり着いたのが、この「FREE P2」です。
材料集めの時は手袋をしていることが多いので、各ツールがフリーアクセスという新しい方法ですんなり使うことができるところに惹かれました。
また片手でプライヤーを出すことができるというのも山では大きなメリットですし、どんな使い方ができるかな、と手元に届くまでワクワクしながら待っていたのです。
第一印象
待望のP2が届きました。
丁寧に梱包された箱を開けて本体を取り出して、、、思ったより重い!主人が使っているのは比較的軽いスケルツールなのでそれよりは重いとは聞いていましたが、予想以上でちょっと驚きました。
そしてプライヤーの動きが固い気がしますが、これはおそらく使い始めだからかな?開く時に少し指が痛い。。
そんなこんなで私に使いこなせるのか、不安を感じながらもいろんなツールを出し入れすると、そのたびに節度感を持ってカチッと固定される感触が頑丈さを物語っているようにも思いました。
材料集め
いよいよ材料集めの日、山で初使いしてみました。
写真はあちらこちらで見つけた山帰来(サンキライ)の実を集めているところです。この蔓植物の実はとてもきれいな赤色で長持ちするのでクリスマス用のリースには最適ですなんですね。ただ蔓が硬く、トゲが多くてチクチク痛いので革手袋をしての作業になります。やや大きく感じていたP2のサイズが手袋越しならちょうどよくて作業が捗ります。
ハサミも小型ながら切れ味は申し分なく、小回りが効くので他の木に絡まった細い蔓を切るのに使いました。本体という大きな持ち手があるせいか、意外に扱いやすいものです。
実はこの作業で一番活躍してくれたのはプライヤーでした。ハサミでは手に負えないほどの固い蔓もワイヤーカッターを使えばサクサクと面白いように切れます。この使い方はちょっと想定外でしたが、おかげで効率よく集めることができました。
もちろんナイフも予想以上に切れ味がよくてビックリ。この切れ味がいいというのは材料集めの作業効率に大きく関わってきます。
そして届く前から期待していたフリーアクセス。手袋をしていても片手で欲しいツールが取り出せるのは本当に助かります。プライヤーをしまうのだけは両手が必要ですが(笑)。
リース作り
リース作りの基本的な手順はまずフジなどの蔓でベースを作り、その上にデコレーションしていく方法です。木の実などの固定にはワイヤーやグルーガンを使います。
これまではラジオペンチ、ハサミ、カッターナイフなど別々に用意して使っていたのですが、肝心な時に欲しいツールが近くにないと作業が中断されてしまうので効率が落ちてしまいます。マルチツールのいいところは一つ手元にあるだけで複数のツールが使えるということと実感しました。
ワイヤーで蔓を結束する時、キリ(というより隙間通し)を使ってワイヤーをくぐらせ、プライヤーで結束、余ったワイヤーをワイヤーカッターで切断。
また木の実を取り付ける時にはプライヤーで木の実を挟んでグルーガンで固定、余った枝をハサミで切り落とす。。
一連の流れがずいぶんスムーズになると共に尖ったワイヤーや高温のグルーガンで怪我をするリスクを下げることにも一役買ってくれます。
私のリースにはもう一つ大事なデコレーションが。
それは完成したリースをお客様にお渡しする時に取り付けるネームタグなんです。これは木工を副業にしている主人が試験的に作ってくれたのがきっかけで、以来リースのみならずしめ縄リースやソネングラスにも一つずつ付けてお客様の元へと送り出しています。
その製作工程にもマルチツールは活躍してくれています。
タグを手に取っていただいた時に手触りが柔らかくなるようにナイフで角を削ったり、塗料の缶を開けたり。
使えば使うほどに用途が見えてくる、そのたびに手に馴染んで愛着が増すのがP2のいいところかな、と思っています。
日常生活で
リース作り以外にも日常生活の様々な場面でP2は活躍してくれています。
特に我が家では主力暖房に薪ストーブを使っていますので、そのメンテナンスや薪割りの際のチェンソーの調整など、P2登場の機会は多い方です。
道具が必要な、でもちょっとした作業だとわざわざ道具を取りに行ったりするのが面倒でつい後回しになって忘れることが多いのですが、P2を常に携帯しているとその場で使えるので、うちのドアノブのガタつきはすっかりなくなりました(笑)。
うちにP2が届いてから約2ヶ月、最初はあんなに重いと思っていたこのツールがいつの間にかしっくり馴染んで、今では腰にその重みを感じていないと不安に思うこともあるほど。
そしていつしか道具が必要になった時にはごく自然に手がP2に伸びるようになれば、私はこのツールを使いこなしたと言えるのでしょうか。
重く、頑丈だけど頼れるツール、FREE P2。私の生活になくてはならない相棒になってくれたようです。
レポート対象ツール:FREE P2
プロフィール
木寺 園子
兵庫県丹波篠山市在住のナチュラルリース作家。
10年前に大阪府堺市から、より自然に近いライフスタイルを求めて2頭のボーダーコリーと共に夫婦で移住。里山に自生する植物から作るリースの販売をはじめ、京阪神を中心にワークショップや個展などを精力的にこなす。最近ではしめ縄リースやソネングラスも製作。